スマホゲームをしながら運転していたトラックにはねられ、小学生が死亡した事故(2016年)。あれほどの悲劇が起きたにもかかわらず、今もなお「ながら運転」による痛ましい事故は繰り返されています。昨年には「ながら運転」による死亡・重傷事故が過去最多を記録(2025年;警察庁)。事故の加害者になるリスクはあなたの会社にも潜んでいます。

1.日常に潜む「ながら運転」

運転中の携帯電話

スマホ操作だけが「ながら運転」ではありません。実は、運転席における日常的な行動の中に多くの「ながら運転」のリスクが潜んでいます。

たとえば、食べ物を口に運ぶ、タバコに火をつける、信号待ちでスマホの通知を確認する―いずれも運転への集中を削いでしまう明らかな「ながら運転」です。

実際、こうした行動をしていた最中に自転車や歩行者、他車の動きに気づかず事故に至ったケースは少なくありません。

まずは“自分もやっていないか”を見つめ直すことが、事故防止への第一歩です。

2.罰則・減点 ― 代償は小さくない

「ながら運転」は法改正以降、厳罰化が進み、今では重い交通違反として位置づけられています。

スマートフォンなどを操作しながら運転して事故を起こせば、違反点数は6点となり即時免許停止処分。さらに1年以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が科されます。

通勤中や業務中に社有車で事故を起こした場合、会社にも使用者責任が及ぶ可能性があり、損害賠償や企業イメージの失墜など、代償は個人にとどまりません。

実際、報道で会社名が取り上げられるケースも少なくなく、たった一度の「ながらスマホ」が企業の信頼を揺るがすことも。

「本人が気をつけていれば…」では済まされない時代。「ながら運転」は組織全体のリスクとして捉えるべきです。

3.“ながらゼロへ” ― 企業の取り組み例

運転中のスマホ操作

「ながら運転」を防ぐために、企業もさまざまな対策に取り組んでいます。

  1. 就業規則に「ながら運転禁止」を明記(運送業A社);社用車運転時のスマホ操作・飲食・喫煙などの禁止を明文化し、違反時の処分も規定。新入社員研修での説明を通じて周知徹底。
  2. 英語など多言語で注意喚起(製造業B社);外国籍ドライバー向けに No distracted driving と記載したポスターや教育動画を用意し、多言語で周知。
  3. テレマティクスで“ながら”検知(IT企業C社);ドライブレコーダーと連携した運転データを活用し、ふらつきや急減速といった「ながら運転」傾向を可視化、フィードバック。
  4. 注意喚起動画を社内共有(建設業D社);研修や朝礼で「ながら運転による事故映像」などを社内共有し、日常的に抑止意識を高める取り組みを実施。

社員一人ひとりが「ながら運転」をしないために、企業としてできることは数多くあります。ルールと仕組みの両面で、“ながらゼロ”を目指す姿勢が重要です。

4.ついやってない? ― 自己チェックで振り返ろう

ながら運転は、意識せずに習慣化してしまっていることが多く、無自覚なまま事故リスクを高めている場合があります。次の行動をあなたは運転中にしていませんか?

  1. スマホを操作する
  2. 車載のナビや音楽を操作する
  3. 携帯電話で通話する(ハンズフリー含む)
  4. 書類や伝票にチラチラと視線を運ぶ
  5. ペットボトルのフタを開ける
  6. お菓子の小袋を開ける
  7. タバコを取り出し火をつける

1つでも当てはまったら、あなたは「ながら運転」における自分の習慣・課題を見つけたと言えます。あとは、自分に合った方法でその課題解決を図るだけ。その課題解決が自分と会社の未来を守る力になります。

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