1.新入社員研修、何か足りていませんか?

春、新入社員たちは各企業で研修期間に入ります。
「どんなカリキュラムなんだろう?」―事前にSNSやネットで「新入社員 研修 服装」や「新入社員 研修 きつい」などの検索をする人も多く、企業側が想像する以上に、彼らは研修の目的や内容に不安を感じながらこの期間を迎えています。
実際、新入社員研修では、ビジネスマナーやコンプライアンス、報連相など、社会人としての基礎を学ぶプログラムが一般的です。企業によってはプレゼンや英語、現場実習なども取り入れられ、配布される資料も多いようです。
しかし、こうした中に「交通安全教育」が組み込まれているケースは、まだ多くはないようです。会社の一員として業務で運転する可能性がある以上、安全運転の理解と習慣づけも重要な学びの一つです。
これまでの定番の研修内容だけで本当に足りているのか―。新入社員の「安心」と「安全」を支えるために、いま一度カリキュラム全体を見直してみるタイミングかもしれません。
2.新入社員は運転に不慣れです
新入社員の中には、入社後すぐに営業車や社用車の運転を任される人も少なくありません。
しかし、「免許は持っているが、しばらく運転していなかった」という人は意外と多く、大学進学後に運転機会がなかったり、都市部で車を使わない生活をしていたりと、日常的に運転していない背景はさまざまです。
教習所で学ぶのはあくまで基本であり、実際の業務では、狭い駐車場での切り返しや、初めての営業先へのルート選択、交通量の多い道路での右折など、判断力と経験が求められる場面が多くあります。
不慣れな状態で「業務としての運転」を求められることは、新入社員にとって大きなプレッシャーとなり、判断ミスや操作ミスのリスクを高める要因にもなります。
「社会人としての第一歩」と「運転者としての第一歩」が重なるこの時期だからこそ、企業側が新入社員の運転経験に目を向け、適切な教育やサポートを行うことが重要なのです。
3.緊張とプレッシャーが運転に影響します
新入社員にとって、入社後の毎日は新しいことの連続です。
初めての職場、業務、名刺交換など、“初めて尽くし”の中で、常に緊張やプレッシャーを抱えながら日々を過ごしています。そんな中、「運転」も業務の一環として任されると、心身に余裕がないままハンドルを握ることにもなりかねません。
例えば、「上司を乗せて運転する」「時間厳守で目的地へ着かないといけない」「道に迷ったらどうしよう」といった不安が、不慣れな運転に重くのしかかります。
緊張によって視野が狭くなり、焦って判断ミスをするなど、普段ならしないようなミスが起こるのもこの時期ならではです。
こうした状況は、本人だけでなく企業にとってもリスクです。新入社員が安心して成長できる環境を作るには、単に運転の技術を問うだけでなく、「運転中の心理状態」にも目を向けることが大切です。
4.若年層ドライバーは事故が多い傾向にあります
新入社員の多くが該当する「若年層ドライバー(おおむね16〜24歳)」には、共通する運転上の“特性”があるといわれています。
たとえば、経験の少なさからくる状況判断の甘さや、過信によるスピード超過、反射的な操作ミスなどが挙げられます。
実際、警察庁が公表している「年齢層別の交通事故件数」によれば、若年層は他の年代に比べて事故率が高い傾向にあります。
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
---|---|---|---|---|---|
16~24歳 | 1,671 | 1,649 | 1,636 | 1,615 | 1,527 |
25~34歳 | 756 | 754 | 735 | 752 | 710 |
35~44歳 | 608 | 592 | 573 | 580 | 557 |
45~54歳 | 617 | 599 | 587 | 597 | 558 |
55~64歳 | 611 | 607 | 592 | 618 | 589 |
一般原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり交通事故件数の推移(2025;警察庁)
若年層ドライバーは、単に「未熟だから」と一括りにするのではなく、若年層特有の心理状態や運転傾向を理解したうえで教育を行うべきであることを示唆しています。
新入社員の運転に対しても、ベテランドライバーと同じ基準で「大丈夫だろう」と判断するのではなく、「リスクを抱えやすい特性がある」という前提で支援する視点が必要です。
5.新入社員向け交通安全教育、いま注目の中身とは?

新入社員に対する交通安全教育のニーズは年々高まっています。業務で運転をしない場合でも、若年層の事故率の高さや、企業に課せられる「安全運転管理義務」を踏まえると、社会人としてのスタート時に交通安全の意識を高めておく意義は大きいといえます。
現在、企業で注目されている講習内容は、座学と実技の両軸で構成されています。座学では、「運転者としての社会的責任」や「企業リスク」について理解を深める講義が中心です。事故を起こした場合、個人だけでなく企業も責任を問われることを伝えます。
実技では、車両感覚の確認や、事故が多いバック走行・車庫入れの練習、さらに講師による同乗診断や危険予測トレーニングも取り入れられています。
交通安全の基礎を新入社員研修の段階で伝えることは、会社の未来である新入社員の命を守るだけでなく、企業の信頼やブランドを支える力にもなるのです。
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